🌿 はじめに ― 放置竹林から、未来を敷く
冬を前にした愛媛の畑で、一枚の竹のシートが静かに広がっています。
それは、ただの農業資材ではなく、「放置竹林」から生まれた新しい形。
長いあいだ手入れされずに荒れた竹たちが、
いま、“土に還る素材”として人の暮らしに戻ってきています。
ニュースを見て、ふと感じました。
――竹って、やっぱり人と自然のあいだに立つ存在なんだな、と。
🍃 第一章:放置竹林 ― 眠っていた資源たち
日本では今、全国で放置竹林が問題になっています。
戦後、竹細工や建材の需要が減り、人の手が入らなくなった竹林は、
あっという間に繁殖し、山の生態系を変えるほどに。
竹が持つ強い生命力は、かつて人の暮らしを支えた象徴でもありましたが、
いまでは「竹害(ちくがい)」という言葉まで生まれるほど。
その“厄介者”を、もう一度「役に立つ存在」に変えようという動きが
愛媛で始まりました。
🌱 第二章:愛媛からの挑戦 ― “廃材”を“資源”に変える
愛媛県内の企業と自治体が協力して生まれたのが、
放置竹林から作る“竹のマルチシート”。
竹を粉砕して繊維化し、
畑のうねに敷くことで、雑草を抑え、保温・保湿の役割を果たします。
使用後は自然に分解され、やがて土へと還る。
プラスチックを使わないこの素材は、
環境負荷を減らしながら、竹林の再生にもつながる仕組みです。
つまり「里山の循環」を、人の手で取り戻す試みなのです。
🌾 第三章:竹が見せる“再生”のかたち
竹は真っすぐに伸び、折れてもまた芽を出します。
中が空洞で、風を通しながら生きる姿は、
古くから「清らかさ」「誠実」「神の通り道」の象徴でした。
今回のプロジェクトは、まさにその“竹の心”を現代に映したもの。
問題を解決するのではなく、
“竹自身の力で再生していく” という考え方に、どこか祈りを感じます。
竹が再び人の暮らしの中に入り、
自然と人との距離を少しずつ近づけていく。
それは、昔の日本人が信じた「循環」の形そのものです。

🪴 第四章:未来へ ― 緑のシートが描く風景
竹のシートは、いま小さな畑から始まりました。
けれど、これが全国に広がれば、
竹林の整備と農業の未来、どちらにも希望が見えてきます。
放置竹林の中にも、
まだ使える“力”が眠っている――。
人の手が少し加わるだけで、
自然はまた豊かに息をしはじめるのです。
竹が「害」ではなく「光」として語られる日が、
もう来ているのかもしれません。
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竹が生まれ変わる。
それは、自然が人を責めるでもなく、
ただ静かに「もう一度やり直そう」と語りかけているようなこと。
愛媛の畑に敷かれた一枚の竹シート。
それは未来へ向けた、やさしい祈りのかたちです。



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